齋藤精一さんに会いに行く。


齋藤精一
1975年、神奈川県生まれ。ライゾマティクス代表取締役。クリエイティブ&テクニカル・ディレクター。コロンビア大学建築学科にて建築デザインを学び、2000年よりN.Y.で活動。帰国後は、アート/CMの領域で立体・インタラクティブの作品を制作。カンヌ国際広告賞等、海外広告賞を多数受賞。

 

Webの差し出し方

 今日はお時間をいただき、ありがとうございます。いろいろな業界の差し出し方のプロにお話しを聞きに行こうというこの企画で、Webのことは誰に話を聞いたらいいだろう? と思いを巡らしたとき、一番話を聞いてみたかったのが齋藤さんでした。

齋藤 ありがとうございます(笑)。

 実を言いますと、僕はパソコンに向き合う時間が極端に少ない人間でして、必要なときには電話をかけるようにしているので、メールすらスタッフにチェックしてもらっているんです。そんな僕ですから、Web上でのモノや表現の差し出し方については、検討がつかないといいますか、特によくわかっていないんですよね。
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 BACHではこれまで書店をはじめ実態のあるリアルな現場で仕事を重ねてきたこともあって、もし、「Web上でこの本を薦めてください」という依頼がきたとしても、どういう方法論で取りかかればいいのか具体的な手段が思い浮かばないんです。
 Web上で何かを伝えたり表現することは、実態のある場所でやるよりもある意味難しい印象があるのですが、いかがですか?

齋藤 そうですね。いまはもうWebだけで何かを伝えたり、表現したりすることは難しくなってきたと思います。デジタルだけでコミュニケーションしていても、人の心にささらないんです。

 だからこそ、僕らの強みというか、いまライゾマティクス [1]に発注してもらえる理由の一つは、デジタルも物理的なフィードバックも両方できるところだと思います。たとえばWeb上で何かを入力すると、連動してリアルな世界に変化をもたらす、というような表現を提案しています。デジタルとフィジカルの両方を扱えるかどうか、ライゾマティクスはその要望に応えられるチームとして見られているんだと思います。

au 4G LTEプロモーション「FULL CONTROL TOKYO-驚きを、常識に。」(プランニング、クリエイティブディレクション、プログラミング等をライゾマティクスが担当)
au 4G LTEプロモーション「FULL CONTROL TOKYO-驚きを、常識に。」(プランニング、クリエイティブディレクション、プログラミング等をライゾマティクスが担当)

 なるほど。Webサイトだからこそできる表現形態というものはあるのでしょうか?

齋藤 たとえばAR [2]の技術はたぶんその一つだと思います。でも、表現に特化するとそんなにないんじゃないでしょうか。
 Webにおける表現の手法については、実はそこまで進化していないような気がします。インターフェイスも、結局は人間のアフォーダンス [3]に合わせて作られていますしね。

 主体はあくまでも人間。

齋藤 はい。Webのレイアウトの手法に「Fの法則」 [4]と呼ばれるものがあるんですけど、それだって、人間の自然な目線の動きに合わせて、テキストを配置していく考え方なんです。

 ただここ数年、ユーザーさんとWebとの関わり方はだいぶ変わってきましたよね。スマートフォンもタブレットもこれだけ普及して、通信環境も快適だし、たとえばこうやって打合せをしていて、「齋藤さん、MVRDV [5]のあの作品知ってますか?」って聞かれて知らなければ、その瞬間インターネットで検索して「知ってますよ。○○ですよね」っていう会話が成り立つ。つまり、Webを含むデジタル技術はユーザーの拡張知になってきているということだと思います。

 なるほど。外部記憶。

齋藤 そうは言っても、Webの情報にユーザーさんの個人的な感情や感覚、思い出や経験のようにエモーショナルなものを埋め込めるかというとまだそこまではいっていません。

 たとえば、アマゾンに代表されるネット書店では、一度に何万冊もの本を一覧できて、利便性に特化しているものではあるけれど、その一万冊の書誌データそれぞれには属性がありませんよね。「バルセロナ」というワードで検索したとすると、旅のガイドブックから、建築の本、サッカーの本、小説、料理の本、写真集……、もうありとあらゆる本が並列で一斉にリストアップされます。このガチャガチャの分散を埋めていこうとするおもしろさが個人の本棚とか、もしくは本屋さんの本棚にはあるんじゃないのかなと思います。

 

デジタルとフィジカルの融合

齋藤 ライゾマティクスの事務所の本棚を見てもらってもわかると思うんですけど、もう“カオス”なんです(笑)。カオスなんだけど、本棚一つでおおよその人となりがわかってしまう。昔、そんなTV番組がありましたよね。「この本棚は、どういう人の本棚でしょう?」ってプロファイリングする番組。

ライゾマティクス事務所の本棚
ライゾマティクス事務所の本棚

 たとえば好きな子の部屋に遊びに行って、本棚に並んでいる本の背表紙を見ると、その子の趣味嗜好がわかって、それが自分と似ていると嬉しい感覚ってありましたよね。この子、ミーム論 [6]も読むし、宮沢賢治 [7]も読む、みたいな情緒が電子書籍だとわからなくなってしまうと思うんですよ。好きな人、憧れている人が何を読んでいるか、そこ気になりますよね。

 確かに。本棚に並んでいる本は自分の来歴と言っても過言ではないですからね。べつにそれを読み返さなくても、背表紙を見ただけで、そういえばこの本を読んでいた大学生の頃、こんなこと考えてたな、とか自然と思い出すものですよね。

齋藤 2011年にソニーの電子書籍ストア「Reader™ Store」と連動した企画で「好奇心の本棚」 [8]というキャンペーンサイトを作りました。ライゾマティクスがキャンペーンサイトを作って、書籍のセレクションをBACHにやっていただいて。
 今はサイト自体はないんですけど、ツイッターとかでログインすると、自分の本棚がWeb上に作れる仕組みなんです。

「好奇心の本棚」キャンペーンサイト(*現在は閉鎖)
「好奇心の本棚」キャンペーンサイト(*現在は閉鎖)

 そうですよね、やりましたよね。

齋藤 このサイトでは、本棚のマテリアル(スチール/木目調…etc.)と、そこに飾るアイテム(時計/地球儀/木彫りの熊など数十種類)から3つを選ぶと、アイテムの組み合わせにひも付けられたお勧めの書籍が本棚に並んで、自分だけの本棚が編集される仕掛けでした。そこから読みたい本を購入したり、興味のない本を削除したり、Web上でオリジナルの本棚を作ることができます。
 この「好奇心の本棚」は、デジタルの世界における電子書籍の本棚と、現実世界における物理的な本棚を融合させるような見せ方ができないか、ということの実験でした。

 本自体にそもそも備わっている固有性、判型や厚さ装丁といったものをWeb上で表現するのはこれまでなかなか難しくて、Webではどうしても均一化して見せざるを得なかったわけですが、この「好奇心の本棚」では、本の厚さや質感の表現も試みて、そのあたりにもきちんと工夫がなされていましたよね。

齋藤 重さとか堅さを表現するために、本を倒してみたりしましたね。
 たとえば、“バルセロナ”について調べごとをしていて、歴史や建築、料理に関する本が欲しいとき、街の本屋さんだったら、各出版社に在庫を確認して、注文して、本が送られてきて、すべての本が揃うまでに1ヶ月ぐらいかかるかもしれないところを、ネット書店だったら、早くて翌日には手元に届く。でもそこには、本屋さんを歩くおもしろさはない。そのおもしろさをデジタルでも表現できないかなと思った試みが「好奇心の本棚」でした。

 このWebサイトを見たときに、これは「一箱古本市」 [9]だなと思いました。

 一箱古本市は、不忍池のブックストリートから始まったイベントで、参加者が各自段ボール一箱分の古本を持ち寄って、それを売るんです。素人であろうが、書店コードがなかろうが、“○○書店”っていうふうに参加者は自分のお店に屋号をつけて、自分が売りたい本を持って行きます。
 売ることを目的にして、売れそうな本を持って行ってもいいし、単純に自分の好きな本を並べて、それについてお客さんと会話を楽しむだけでもいい。そこは参加者の裁量に任されていて、値段交渉も自由。一度、新潟で開催されたときに僕も参加したんです。

 BACHの仕事で書店をいくつかディレクションしながらも、自分たちが選んだ本をお客さんに直接手渡しできる経験はなかったので、一箱古本市にはそれができるおもしろさがありました。僕が持って行った本のなかに、久住昌之さん [10]のご兄弟コンビ、Q.B.B.(久住昌之+久住卓也)が描いた『とうとうロボが来た!!』(青林堂,1944/幻冬舎文庫,2005)という名作マンガがあったんです。すごくおもしろくて、ロボっていう犬が飼いたくて飼いたくて、飼えない小学生の話で(笑)、とにかくいいマンガなんです。

 そのマンガを、僕の目の前で小学校3年生ぐらいの少年がずーっと立ち読みをしていて、「それ欲しいの?」って声をかけたら、「欲しいけどお金がないんで、ちょっとおばあちゃんに相談してきます」って。そのマンガ、1200円ぐらいで、少年が買うには少し高めなんです。だけどどうしてもあの子に読んで欲しい、っていう気持ちになって、それで、おばあちゃんと一緒に帰ってきたときには「もう、おばあちゃん、いくらでもいいですから」って、200円で(笑)。

齋藤 へーっ(笑)。

 「好奇心の本棚」でも同じことが言えると思うんですけど、単純に自分の属性、趣味嗜好を人に見せて、誰かと共有するだけではなくて、見せた後に実際的なやりとりが可能であるということが重要な気がするんです。僕の一箱古本市での体験は、本が売れたことよりも、自分にとってこんなに大切だったあの本が、確かにあの少年に届いたという、その手ごたえ、その確からしさを得るという意味ですごく良かったと思っています。

 Web上ではSNSやブログ、ツイッターに代表されるように、プライベートを日記のように綴ったり、個人の趣味嗜好を表現したりするためのツールはすごく増えましたけど、見せるだけではなくて、見せた後の手応えというか、これがこんなふうに届いた、っていう実感がすごく重要になってくる気がしますよね。

 

デジタルと紙媒体

齋藤 今、いろいろな意味でいろいろな業界が過渡期を迎えていると思います。メディアも、コンテンツもエンターテインメントもそう。
 それこそ電車のなかでも、歩きながらでも、どこでもスマホを見ているのが現状ですが、現代人は90%の情報は流し見していると言われています。僕もそうです。仕事が終わって、タクシーに乗り込んで、すごく疲れていてすぐにでも寝たいはずなのに、なんとなくスマホを取り出して、グノシー [11]を立ち上げて斜め読みを始めてしまう。

 時間があいたらスマホを見る、という一連の動きが身体に刷り込まれているんでしょうね。

齋藤 「活字離れ」なんていう言葉もありますけど、Web上のコンテンツも含めれば、おそらく昔よりも現代人の方が活字読んでますよね。

 確かにそうですね。

齋藤 にもかかわらず、紙媒体、特に雑誌が次から次に廃刊になっていくのは、今までの紙文化、雑誌文化には即時性が欠けていたということだと思います。雑誌とか本は、対象者に取材をして、原稿を書いて、複数回校正をして、印刷して製本して、書店の店頭に並ぶまでには半年とかある程度の時間がかかりますよね。一方でWebの場合は記事を書けば、その日のうちにでもアップされる。だから、ユーザーの傾向として言えることは、情報の受け手はいま当たり前に即時性を求めているということだと思います。

 とは言え、雑誌文化の衰退にはデジタルに関わる人間の一人として、少し責任を感じるところもあるんです。たとえば僕の大好きな雑誌、学生時代バイブルのように読んでいた「STUDIO VOICE」 [12]も「remix」 [13]も廃刊になってしまいました。

 僕もいまだに、過去のおもしろかった特集を読み返すことがありますよ。

齋藤 あぁいうある種憧れの世界を見せてくれていた雑誌のクロージングパーティに行くと、あぁ、これはデジタルが何らかの荷担をしてしまっているんじゃないかな、と考えることもあります。おそらくこれからは、デジタルと紙媒体の適材適所の棲み分けが進むと思うのですが、今はどちらかというと濁った水で、少し時間をおけば水と泥に分かれるはずなんです。

 僕が感じるのは、デジタルの世界は本という紙媒体を自分たちの領域にビジネスモデルとして取り込んで、できるだけ現代の利便性に特化した電子書籍を作ろうとしている一方で、紙の世界はデジタルに対するアレルギーがすごく強い。ここまで電子書籍が広まらない背景には、日本の場合は特に、日本人がオンラインでクレジットカードを使いたがらないというそもそものネガティブ要因が一つと、もう一つ、出版社の権利の問題があると思います。
 日本の出版社はデジタルに対して閉じている。全部を解放する必要はないと思いますが、守るべきところは守った状態で解放できれば、そこではじめて「水」と「泥」に分かれると思うんです。そうじゃない限りは、ブルーオーシャンはずっと濁ったままなのではないでしょうか。
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 デジタル業界に対して、出版社が権利を開かなかったという要因はかなり大きいでしょうね。電子書籍の話題が出始めた頃、出版業界にはどうしても「黒船がやってきた」という感覚があったように記憶しています。要は電子書籍は、自分たちの既得権益を根こそぎ奪い取る存在として語られていました。

 僕自身は正直言って、紙で読もうが、電子書籍で読もうが、どちらでも構わないと思っています。大切なのは、読書を通じて触れた情報を自分のなかでどう吸収して、どう使っていくのか、自らの意識と身体を駆動させるエネルギーとして、情報をどう使うのか。本なんてたくさん読む必要は全くないし、一冊を永く読み続けるような読書でいいと思うんです。

齋藤 本来は、読者という主体があったら、紙とデジタルと、単純に道具として使いわければいいだけのはずですよね。

 出版社には電子化によるビジネスモデルがイメージできなかったということだと思います。これまで守ってきた既得権益を一度解放してしまったら、それは閉じられない蛇口になってしまう。だから、少しずつ少しずつ開いていくうちに、期を失ってしまったのかもしれませんね。

齋藤 錆びて水が出なくなる感じですね。

 いま、出版は延命装置で生きのびている状態といっても過言ではありません。スマホやタブレットで読書をする人が増えてきた以上、読者とのミーティングポイントという意味では電子化してWebというお店に置いておかない限り、読者との出会いさえ生まれないと思うんです。これだけスマホやタブレットが普及した現代で、人が本屋に行く回数とネットブラウズする回数を比較したら、明らかに後者の方が多いわけですし。

 一方で、本屋の店頭には基本的には本だけが並んでいますけど、Webにはもうありとあらゆる雑多な情報が並列に並んでいますよね。そんな状況のなかで、インターネットの海に電子データを放ったとき、それが埋もれやしないか、読者と本当に出会えるのかという危惧もあると思うんです。書籍の電子データをWebの海にポイッと放り投げたとき、それを届いて欲しい読者にちゃんとすくい上げてもらえる方策って何かありますか?

齋藤 月次ですが、人に知ってもらう方法の一つはバナー広告ですね。たとえば、ユーザーがレストランを探しているのか、観光スポットを探しているのかはわからないですけど、検索エンジンで「恵比寿」っていう単語を入力しているとき、バナー広告で恵比寿に関する本を出すとか、それはもうたぶん当たり前にやるべきことだと思うんですよね。

 あとは、SNSメディアのなかにも本が出てくるような仕組みを作るべきだと思います。インターフェイスの作り方にもよると思うんですけど、一番わかりやすいのは、日本の出版社が一堂に会して、Web上に本屋のデパートのようなものを作れればいいと思います。そういうふうになっていれば、斜め読みもできる。サマリー [14]が、あれだけ成長した理由の一つは、暇なときに流し見していると、毒にも薬にもならないけど、“want it(欲しい)”と“have it(持っている)”で、なんとなく欲しいものが見つかりそう、みたいな感覚がユーザーに演出されているからだと思うんですよね。
 斜め読みができるということが、今インターフェイス論として一番流行っています。

 なるほど。でも、本の場合、そのインターフェイスに並ぶものって僕は表紙じゃない気がするんです。

齋藤 そうですね、中身がいいと思いますよ。言葉。

 テキストだと、その情報を解読するのにある程度の時間が必要ですよね。モノの場合、たとえば食べ物や洋服の写真なら、0.2秒で「カップケーキ」「ワンピース」って認識できるけれど、テキストを読み込ませようとするには、どんなに短くても2秒ぐらいかかると思うんです。その1.8秒の差をどう埋めていくのかっていうことが課題ですね。

齋藤 確かにそうですね。タンブラー [15]とかも、僕もひたすら暇なときに斜め読みしてるんです。食事しながら、なんの発見もなくずーっとスクロールしているだけ。あ、おもしろそうだなとか、今やってる仕事にこの画像使えそうだなとか。そういうふうに使ってるだけなんです。こういうことが本の世界だとなかなか難しいのかもしれませんね。

 最近「まちライブラリー」 [16]といって、街のなかのある場所にいろいろな人が本を持ち寄って、それをみんなで共有する試みがあるんですね。BACHでは和歌山県のイオンモールにある「JAMES TAYLOR」という紅茶屋さんと一緒に行った取り組みなのですが、その紅茶屋さんに街の人が本を持ち込んで、一冊持ってきたら一冊交換できるという仕組みです。
 Web上で、どんな本がその本棚にあるのかをみんなで共有することもできるんですけど、見ていただいたらわかる通り、インターフェイスには表紙画像が並んでいます。この紅茶屋さんの本棚にはこういうテイストの本があるんだということが一覧できるという意味では、本を景色のように流し見することになるので、先ほどのSNSメディアの役割に多少近いのかもしれないなと思います。

 ただ、この仕組みだと最初にBACHが選んだ本と、その後にお客さんが持ってきた本がどんどん混ざっていくわけです。そうすると、当初何か一つ存在していた人格のようなものが、いろいろな人が介在すればするほど、どんどんどんどん多重人格になっていくんです。おもしろいといえばおもしろいのですが、プロジェクトを継続すればするほど、最後には混沌しかやってこないのかもしれないという危惧もあり、まだ見えない部分が多いんですよね。
 Web上で風景のように本の情報を流し見できるサービスを出版社が作るというのは僕もおもしろいと思うんですけど、そのときに何か方針というかコンセプトというか、拠り所になるようなものが必要になるんじゃないかなと感じるんですけど、どうでしょう?

齋藤 うーん……。僕の場合はランダムにあった方がいい気がしています。海の水はずーっと流しておくべきで、対流しておかないと、一気にそこに人が来なくなる日も訪れる可能性がある。
 さらに言えば、そういったSNSを各社さんがそれぞれでやっていてもしょうがなくて、一丸となってやったら絶対に勝てると思う。デジタルの世界も当初は、やっぱりみんなで一致団結して戦ったところがあったんです。

 拡げていくために。

齋藤 Bluetooth [17]もユニバーサルの規格で、少しのライセンス料で誰でも使うことができるサービスです。
 「Bluetooth(青歯王)」という一見不思議なネーミンは、“Bluetooth”を異名に持つデンマークのハーラル・ブロタンという王様が、異なる種族間を交渉によって無血統合させたという逸話から、乱立する無線通信規格を統一したいという思でつけた名前なんだそうです。
 だから、出版業界におけるユニバーサルな仕組みなのか、場所なのか、見せ方なのか、それを全社一丸となって作ることができれば、僕は事態はだいぶ変わると思います。悩みはみんな同じだと思うんです。デジタルに対して、どうしてもアレルギー反応が出るのもわかりますけど、それが“マス”と言われている人たちの使う道具なのであれば、やはりそこに準じないといけないと思います。

 そうですね。本来、物を売るって、そういうことですよね。
 あとはやはり、人の毎日の動きというか、何を考えて、どこを通り過ぎていて、何に見向きをして、何に見向きをしていないかということを業界全体として、きちんと分析する必要がありますよね。自分たちの得意なことと、不得意なこと、もう少し明確にして。
 今日は紙-デジタルという、向こう岸のお話を改めてきちんとうかがう機会になり、大変勉強になりました。お忙しいなか、ありがとうございました。

  1. ライゾマティクス:デザイン、建築、工学など多様なバックグラウンドを持つメンバーが集うクリエイター集団。2006年設立。メディアアートの表現技法を広告やエンターテインメントのフィールドで展開。PerfumeのPVやライブ演出も手がける。 []
  2. AR:Augmented Realityの略。拡張現実。目の前で知覚される現実環境に、合成等のデジタル技術によって作られた情報を加えること。 []
  3. アフォーダンス:環境の持つ属性(形、色、材質など)が、人間や動物のその物に対する行動・感情を誘発すること。たとえば水は、人間にとって「渇きをいやす」や「溶かす」などのアフォーダンス。 []
  4. Fの法則:人間の視線移動の法則の一つ。Webを閲覧している人はアルファベットの「F」の字の形で、視線を移動させているとされるため、その動きに沿ってWeb上のコンテンツをレイアウトすること。 []
  5. MVRDV:オランダのロッテルダムを拠点とする建築家集団。1991年設立。 []
  6. ミーム論:生物学者リチャード・ドーキンスが『利己的な遺伝子』の中で提唱した概念。情報や文化が人々の間で模倣によって伝達されていく有様を遺伝子が適応進化する仕組みになぞらえて考察する手法。 []
  7. 宮沢賢治(1896~1933):詩人、童話作家。『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』等、著書多数。 []
  8. 好奇心の本棚:2011年、ソニーが電子書籍ストア「Reader™ Store」のキャンペーンサイトとして開設。ツイッター等のSNSと連動させることで、作成した本棚をフォロワーに伝え、閲覧者はReader™ Storeから電子書籍を購入することが可能。 []
  9. 一箱古本市:「みかん箱一箱まで」を上限に、素人からプロまで地域のお店の軒先を借りて古本を販売する古本市。2005年、東京で開催された「不忍ブックストリート」の古本市を契機に全国で展開されている。 []
  10. 久住昌之(1958 ~ ):漫画家、エッセイスト、装丁家。『小説中華そば「江ぐち」』(新潮OH!文庫)、ドラマ「孤独のグルメ」原作など、著書多数。 []
  11. グノシー(Gunosy):2011年にサービスが開始されたニュースアプリ。ツイッターでのツイートなどからユーザーの興味を解析、「エンタメ」「スポーツ」「経済」等、幅広い分野の旬のトピックがまとめて読める。→http://gunosy.com/ []
  12. STUDIO VOICE:1976年創刊のカルチャー雑誌。INFASパブリケーションズ(旧株式会社流行通信)発行。2009年廃刊。アンディ・ウォーホルによって創刊された『Interview』誌と提携して、インタビューを主な内容としていた。STUDIO VOICE ONLINEは継続中。→http://studiovoice.jp/ []
  13. remix:1991年創刊の音楽雑誌。株式会社アウトバーン編集・発行。クラブミュージック・シーンを中心に人気を集めた。2009年休刊。 []
  14. サマリー(Sumally):ユーザーがいま何を持っていて、何を欲しいのか、そして何を売っているのか。その情報を集約しデータベース化することで、この世界に存在するすべてのモノの“モノ百科事典”作成を目指すソーシャルサイト。→https://sumally.com/ []
  15. タンブラー(Tumblr):メディアミックスブログサービス。アメリカのDavidville.inc(現: Tumblr, Inc.)により2007年サービス開始。Web上でユーザーがおもしろい・好きと感じた画像やテキストをスクラップできるサービス。→https://www.tumblr.com/ []
  16. まちライブラリー:カフェやギャラリー、オフィスや病院など街の一角に共通の本棚を置き、近隣住民が本を持ち寄り、交換していく小さな図書館を作ろうという試み。2011年からスタートし、現在、全国70ヶ所近くで展開。 []
  17. Bluetooth:デジタル機器用の無線通信の規格。最大10mの範囲内にあるBluetooth対応機器と通信が可能。ノートパソコンやスマートフォン、および周辺機器などケーブルを使わずに接続し、音声やデータをやりとりすることができる。 []